どうも、工場長です!
意外と多くの方にeスポーツ関連の記事を読んでいただいているようで嬉しいです。
興味はあるけど、身近に情報源がないという方も多く
SNSの構造上、自分からその情報を探しに行かないとなかなか触れれないですよね。
なので、今日は少しだけ日本と世界のゲーム業界の現状についてお話したいと思います。
日本にいると、たくさんのハード、所謂ゲーム機本体が日本で発表され
たくさんのソフトが日本から発売され楽しまれている、と感じていると思います。
その認識は、半分正解であり、半分間違いなのです。
ここで2016年のゲーム関連企業ランキングを見てみましょう
1位 Tencent
2位 Sony
3位 Activision Blizzard
4位 Microsoft
5位 Apple
6位 EA
7位 NetEase
8位 Google
9位 Bandai Namco
10位 Nintendo
純粋なゲームとしての売上ではないのですが、驚くような結果ではないでしょうか。
なんと任天堂がなんとか10位に入ってくる位置となっているのです。
1位のテンセントはeスポーツのビックタイトル「League of Legend(通称LoL)」や
「クラッシュ・オブ・クラン」の運営親会社です。
3位のアクティビジョンブリザードは「ウォークラフト」「ハースストーン」
「オーバーウォッチ」と古くから続くeスポーツタイトルの会社です。
6位のエレクトロニックアーツはFIFAシリーズなどスポーツタイトルや
「バトルフィールド」シリーズなどシューティングから
「ウルティマ」「シムシティ」など幅広いカテゴリーのタイトルをリリースする会社です。
7位のネットイーズは網易(ワン・イー)という中国4大ポータルサイトの一つを経営し
PCやモバイルのゲームアプリを開発提供しています。
純粋に日本でデベロッパー、パブリッシャーをやってる企業としては
9位にようやくバンダイナムコが姿を現します。
2016年は年末にドラゴンボールのアプリがものすごい伸びを見せました。
このように、ハード機を作っている会社としては日本は強いが
パブリッシャーとして見ると苦戦をしている実情が浮かび上がります。
では、上位のタイトルは何で遊ばれているかというと、多くはPCゲームの類です。
ここに日本と世界のゲーム事情の乖離が存在しています。
【パブリッシャーとは】
さて、ここでパブリッシャーという言葉について説明しましょう。
パブリッシャーとはゲームを発売する会社です。
実は発売と開発をする会社は必ずしも同じ会社とは限りません。
開発をする会社はディベロッパーと呼ばれます。
それぞれが別な会社が行うことも増えてきました。
例えば、妖怪ウォッチやイナズマイレブンで有名なレベル5という会社は
ドラゴンクエストシリーズではディベロッパーでした。
どこの会社、スタジオが開発をしていて、どこが販売、広報するのか
というのも一つゲームが売れる上での注目ポイントになるわけです。
当然、どこのプラットフォームで販売をするのか
ということも先ほどのランキングを見ていただければ分かるように
重要なポイントとなってきます。
日本のパブリッシャーの多くは、日本のハード向けに開発、販売をしています。
日本で出すものなので当たり前といえば当たり前ですが
世界的に見た時にPCゲームというのが主流なので
これが大きく伸びるというのは難しいわけです。
なので、最近の流れとして2つの流れがあります。
1つは、PC版も発売をするという流れ。
かつてはプレイステーションで出たタイトルがセガサターンで出ることはあまりありませんでした。
なので、やりたいタイトルによってどのゲーム機を買うかという選択が必要でした。
最近は、それぞれのゲーム機、PCなど異なるプラットフォームでも
発売されるタイトルが増えてきました。
バイオハザードシリーズなどはその代表かもしれません。
もう1つは、どこにでも転用できるように開発する、という流れです。
かつてプレイステーションならプレイステーション用の開発エンジンで
作成しなければならず、開発キットそのものが非常に高額でした。
ですが、この数年、安価で高性能な汎用性のある開発エンジンが公開されており
Nintendo Switchは自社の開発エンジンではなく
Unreal Engineという他社製の開発エンジンを利用したことで
開発費用を安く抑えることが出来るようになったと同時に
Switch以外のハードでも任天堂のゲームを遊べるようにしました。
中国国内ではゲーム機の販売が禁止されていることから
テンセントと共同で販売を模索しているという話もあります。
【インディーズゲームの盛り上がり】
ここまでは大きなゲームパブリッシャーの話をしましたが
この数年、インディーズゲームと言われるジャンルも
非常に大きな盛り上がりを見せています。
海外には非常に小さな規模でゲーム制作をしているスタジオが増えています。
PCゲームの分野では、Steamという大きなアプリストアがあり
今年1年で7,000ものタイトルが発売されたと言われています。
また、インディーズゲームの開発を行っていた会社が
ヒット作を出したことで大きく発展するというケースも出てきました。
「アサシンクリード」シリーズを手掛けるUBISOFTもフランスの小さな会社でしたが
今では世界中に拠点を構える一大勢力です。
Nintendo Switchで使用している開発エンジンは
これらの小さなスタジオでも利用されており
日本でも遊べる機会が増えると見られています。
【モバイルゲームに未来はあるか】
また、今の日本の状況を語る上で、携帯のゲームは外せません。
mixiに始まり、モバゲーや様々なパブリッシャーのゲームを
これまで色々遊んできたかと思います。
実際、ゲーム業界としても、モバイル分野でのゲームというのは
日本が大きくイニシアチブを取っていると考えられています。
海外のスマートフォン向けアプリのランキングで
上位に入るのは実用的なアプリがほとんどで
ゲームはまだまだ入り込む余地があると考えられているからです。
しかし、先日発売されたスターウォーズのゲームで
ルートボックス、いわゆるガチャの要素が賭博に当たるのではないかと
北米で大きな問題となっています。
ガチャの仕組みを使って、課金額を膨らませている
現状のモバイルゲームがそのような波にどう対応するのか
2018年は大きな選択が迫られています。
【e-sportsとの関係性】
日本と世界でどのような状況になっているかなんとなく理解いただけたかと思います。
この状況が国内でのe-sportsにどのような影響を与えるのかと言うと
・eスポーツとして遊ばれてるタイトルはPCゲームで日本に馴染みがない
・格闘ゲームなど特定ジャンルは日本の専売特許になっている
・モバイルゲームは世界的に広がるか瀬戸際
このような状況になるかと思います。
今後、国内でeスポーツを広めるべく参加者と観客を増やすためには
既にeスポーツとして盛り上がっているタイトルを国内で広めるのか
eスポーツになりえる新しいタイトルを世界に向けて作るのか
という2つの選択肢でしょう。
それも、2024年のパリオリンピックに正式種目として採用されるのであれば
2020年までには少なくとも発売されている必要があると考えられます。
ゲーム大国と呼ばれた日本がeスポーツでも大国となるための壁は
まだまだ高いのです。